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■機械系3D-CAD 10年後のあるべき姿

                              REV:2019.04.23-1

1.はじめに

私は1981年にタイヤメーカーのグループ会社に就職し、38年間タイヤ・他の製造設備と治工具の設計、品質管理、営業に従事しました。
1987年に2D-CADのme10(Hewlett Packard製)を導入後カストマイズしました。
その経験と、今回3D-CADのFusion360(Autodesk製)を操作した結果により機械系3D-CADの10年後のあるべき姿について考察しました。

2.Fusion360の操作結果の事例を含めた現状の3D-CADの問題点(me10カストマイズ経験も踏まえて)

(1)ラックピニオン動作の確認
   △ビデオプレイボタンで確認ください。

  ○問題点
   @接触拘束では計算負荷高く遅い。計算負荷増によるエラーで左右同期不良が発生するケースがある。
   A内部計算負荷の少ないジョイント拘束には左右同期機能がない。

(2)同調ピン動作の確認
   同調ピンの動作説明(下図参照)
B2(ボス2)はP(同調ピン)によりS(シャフト)に固定されている。
B1(ボス1)が右側へXstスライドし端面がB2にあたりB2を押す。
その時にB1に加工されているC(皿モミ)がPの真上に来ている。
PがSに加工されているC(皿モミ)のテーパーで上側に移動する(Yst)。
B1とB2がPに連結された状態で一緒に右側に移動する(Zst)。

  ○問題点
   @接触拘束では動かなかった。
   A内部計算負荷の少ないジョイント拘束には順番動作機能がない。

(3)リンク機構動作の確認とリンク寸法変更シミュレーション
   発明者:森 政二,日本特許公開 S50-148485(S50.11.28). この特許をモデルとして確認しました。
   ※ラックピニオンによる左右同期はできなかったため仮想スライドジョイントで対応
   ※同調ピンによる動作順番制御ができなかったためモーションスタディ設定で対応
   △ビデオのプレイボタンで確認ください


  ・スケッチ編集でリンク寸法を変更しモーション解析を繰り返し干渉回避を確認しました。

  ○問題点
   @リンク寸法変更後の確認で同じ操作を何回も繰り返す必要があり工数大(確認したい動作位置指定、その際の隙間寸法確認)

(4)市販品3D-CADカタログ
   事例:大阪角田興業(株)製 カクタトグルクランプ3D-CADデーターをSTEPで取り込み
      ジョイント拘束がついていないためジョイント拘束設定
   △ビデオのプレイボタンで確認ください

  ○問題点
   @市販品3D-CADデーターにジョイント拘束がついていないためジョイント拘束設定が都度必要で工数大

(5)現時点で2D-CADを無くし3D-CADへ完全移行できない理由
   @現時点での部品製作は3Dプリンター制作や金型掘り込み部加工を除いて、2D図面情報で大工程(鋳物、溶接構造、プレス制作等)を決め、各工程作業者が2D図面記載の面の寸法公差、幾何公差、表面粗さ、その他の注記、を見ながら製作している。
    現時点の3D-CADにはその情報はなく、また一部あったとしても標準化されていません。

(6)現時点の3D-CAD解析でできないこと
   @現時点での3D-CADのモーション解析では摩擦は0となっており現実での摩擦を考慮した解析はできていない。

3.機械系3D-CAD 10年後のあるべき姿

【問題点2.(3)@ 解決方法】

(1)機械設計技術者が使えるマクロ言語を準備する。
   機械設計技術者がC言語やPythonを使ってカストマイズするのは無理がある。
   私の希望はme10マクロ言語レベルの高級言語
   ・インタプリタ、BASICライク、1作図(アクション)1コマンド、マニュアル整備、
    エコー機能(コマンド履歴)、トレース機能(コマンド+変数履歴)、
    外部コマンド(OSコマンド、BAT、EXE)リモート実行機能(変数と結果はファイル経由)、等。

【問題点2.(1)@、A、(2)@、A、(4)@ 解決方法】

(2)モーション拘束の高度化とカーネルレベルでの標準化
  (左右同調、順番動作、ネジピッチ、等。計算負荷がたかくエラーが多い接触拘束計算を減らす。
   ギアーのクリアランスによるモーション確認等の限定された場合のみ接触拘束を使用する。)

【問題点2.(5)@、(6)@ 解決方法】

(3)面の寸法公差、幾何公差、表面粗さ、摩擦係数、注記、等のプロファイル:カーネルレベルでの標準化を実施する。
   必要数値のみ登録しデフォルトは入力無し。
  →これにより将来の2D-CAD不要化を実現していく。
  →これにより摩擦を含むモーション解析、寸法公差を加味した干渉チェック、クリアランスによるガタのモーション解析、
   等により高度な解析を実現していく。

4.最後に

本考察は長年従事してきた機械設備設計者が現状の3D-CADに対して不足していると感じているものをまとめたものです。
機械系CAD開発者におかれましては、今回の考察を含めCADユーザーの声を確認いただき、今後のCAD開発の方向性の決定をお願いします。
目標は、「より効率よく機械系3D-CADを完成させること。」です。




埼玉県上尾市
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